東京バス散歩のすすめ。あなたもこの本と一緒に小さな旅に出よう!

    

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最後にバスに乗ったのっていつだろう。「東京バス散歩」(白井いち恵/著、京阪神エルマガジン社/刊)という本を読んでいて、そんなことを思った。

この本にはバスで東京を散歩する魅力が詰まっている。そのいくつかはあなたの心象風景と重なる部分があるかもしれない。

心象風景って誰もが持っているもので、それはたとえばぼくの場合、東京タワーだったり、週末の新橋ガード下の喧騒だったりする。そこに実体験などない場合も多いのだけど、なぜかノスタルジーを感じる風景のことだ。

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東京バス散歩

都内の移動はもっぱら電車と自転車、徒歩で事足りる。それくらいバスに乗っていない。

そういえば、以前の話になるけど彼女と二人で渋谷にいたときのことだ。たしか、渋谷ヒカリエが開業した年だったと思う。人混みに疲れたぼくらは、東京スカイツリーを間近に見に行こうということになった、それも浅草駅から徒歩で。

東京スカイツリーってあれだけ高いから都内どこからでも見えると思うかもしれないが意外とそうじゃない。ビルに囲まれているから視界が狭いことが理由だ。

駅からスカイツリーがある押上までは、浅草通りから隅田川を渡って行ける。途中のやよい軒で腹ごしらえをしてから出発した。

曇天のなか、歩き始めて1時間が経った。土地勘がないから、あとどれくらいなのかも想像つかない。思っていたより距離があるのかもしれないと思い始めたころ突然、彼女が足が痛いと言いだした。とうとう雨も降ってきて、こっちまで泣きたい気分。

「あっ、来るよ!」

そう言われて後ろを振り返ると、少し離れた信号でバスが止まっていた。

このとき乗ったバスが、記憶のなかでは最後。車窓に突然現れたスカイツリーの大きさといったら!

東京スカイツリー

アルバムの写真に残されていたのは2012年5月4日と書かれたメモだけ。結局、このときスカイツリーに辿りつくことはできたのだけど、まだ開業していなかったな。ははは。

あれから2年も経つのか。

バスに乗ると東京は楽しい

「東京バス散歩」(白井いち恵/著、京阪神エルマガジン社/刊)

スカイツリーの一件があって、”バスの移動って楽しい”ってことを思い出した。座席はふかふか。スピードはゆっくりで景色を楽しむ余裕もある。なにより他の車より少し高い位置から眺める街の風景が格別だ。バスって生活の足だから、その街に暮らすひとたちが利用する。そういうバスに乗り込んで、自然と聞こえてくる会話に耳を傾けるのもいい。

楽しいのは窓の外だけではない。バス待ちの列の人間模様、乗り込んだ時の運転士さんの感じ、隣の座席から聞こえてくる会話……そういうものが混然一体となって、バスのなかを満たしている。

沿線の街のムードが車内に流れ込んで来た瞬間、単なる移動が「旅」へと変わる。

写真と「そう、そう」と思わず共感せずにはいられないエッセイ。停留所と経路、立ち寄りスポットが載っていて、いますぐにでもちょっとしたバスの旅に出たくなる。「東京バス散歩」にはそんな魅力が詰まっている。

「東98」

「東京バス散歩」(白井いち恵/著、京阪神エルマガジン社/刊)

東京駅発、東京タワーを経由して都会の非日常が味わえる等々力渓谷までを結ぶ路線が「東98」だ。東京タワーはぼくの心象風景そのもの。東京タワーと名のつくものは、つい関心を持ってしまう。過去に「タワシタ」という看板のないフレンチレストランがあったのを思い出した。

このバスが走る場所は実に華やか。千代田区、港区、品川区、目黒区、世田谷区を走り、具体的には、東京駅、皇居のお堀、日比谷公園、愛宕神社、東京タワー、慶應義塾大学、白金、目黒川、目黒のインテリアショップ通り、そして等々力渓谷までをつないでいる。(中略)街なかの路線バスだが、「はとバス」にも負けない、観光(的)路線バスといえる。

日比谷はその昔、江戸湊の入り江で海が迫っていたそうだ。ここに漁村があったなんて信じられない。対岸には砂州があり、これが現在の銀座なのだという。

そして、愛宕神社。これは愛宕山という山の上にある神社だ。都内に山があるというと驚く人がいるかもしれない。長い階段を上まで昇って下を見下ろすとちょっとした達成感を味わえると思う。そこから歩いて10分程度で六本木ヒルズがあるなんて、都会の非日常そのもの。帰りに六本木ライブラリーに立ち寄ろう。



ここのアドバイザーが小林麻実さんという人。著書「ワンランク上をめざすビジネスパーソンの独習ガイド アカデミーヒルズの会員制六本木ライブラリーに集まる人は何を読んで学んでいるのか?」の選書を見る限り、興味が尽きない。念のため断っておくと、ぼくは行ったことがない。

過去記事おいておきます。

アカデミーヒルズの会員制六本木ライブラリーでビジネスパーソンに読まれている基本書が興味深かったので買ってみた

「虹01」

「東京バス散歩」(白井いち恵/著、京阪神エルマガジン社/刊)

「虹01」は浜松町バスターミナルからお台場経由で東京ビッグサイトをつなぐ路線だ。おすすめする理由はレインボーブリッジを通る路線であること。ここは車じゃないと通れないと思っていたから、そんなバスがあること自体知らなかった。

なんだか得した気分になりますね。2012年に「お台場レインボーバス」(ケイエム観光)が新設されるまでは都内唯一の橋を渡る路線だったらしい。

レインボーブリッジ 夜景

芝浦埠頭駅入口で下車すると近くに「Superracer(スーパーレーサー)」というカフェがある。本書でも触れられていて、なんだか懐かしい気分。夜のバイクツーリングでよく立ち寄ったっけ。飽きたら、近くの夜景スポットでレインボーブリッジを眺めてから、お台場へ。

そこには「エバグリ(青海南ふ頭公園)」というバイク乗りには有名な場所があって、そこで海を眺めて物思いに耽るのが好きだった。臨海都市の近未来感を味わいたいなら、この辺りはおすすめの場所だと思う。

コミケ 島風ちゃん

131230 コミケ2日目分まとめ(仮) | ヒマホペ

そして終点は東京ビッグサイト。コミケとオタクというイメージしか持てないでいるけど、あながち間違っていないと思っている。ネットの予習は十分なので、いつか行かなくては。

結局、路線バスの旅とかけ離れた話になってしまったけど、最後にこれだけは言いたい。艦これ最大の功績は島風ちゃんのコスプレを世に広めたことだと思う。

あとがき

「東京バス散歩」(白井いち恵/著、京阪神エルマガジン社/刊)

この写真をみて無性に懐かしい思いが込み上げた。まったく知らない土地の風景なんだけど、心象風景と重なるからなのだろう。そういうものを人は誰でもいくつか持っているものだ。なにもバスじゃなくてもいい。電車だっていいし、徒歩だっていい。自分のペースに合う手段で、ゆっくり楽しめれば良いのだと思う。

あなたも、そういう小さな旅にでよう!

湘南 七里ヶ浜

50年走り続けた車体と、郷愁をさそう高校生の汗の匂い。目をあげれば、変わることの無い太平洋の大海原が広がっている。そんな瞬間、変わらないものに触れた幸福感と、自分が失ってもう二度と手に入れられないものに対する孤独感との狭間で、ひどく泣きたいような気持ちになる。

江ノ電とJK

小田急線江ノ島駅と鎌倉を結ぶ、江ノ電(えのでん)に深い思い入れがある。それは学生の頃、都内まで湘南の七里ヶ浜から通っていたからだ。江ノ電とJK。書いた人の感傷的な気持ちが痛いほどよくわかる。斜め上いく文章表現に圧倒されてしまうけど、伝えたいのはそこじゃない。

ぼくは、いまではもう江ノ電に乗ることもなくなった。いま乗ったら同じように泣きそうになってしまうだろうなぁ。


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