語り継がれるべき名著。株のスゴい本はこれ!立花義正/著「あなたも株のプロになれる」は最高にワクワクする株本だ。

    

株の勉強をしようと思ったとき、書店のコーナーに陳列された「儲かる本」はどれもたしかに儲かりそうだ。そして一見有用にみえる。ところが、それらの新しい知識を仕入れて実際にやってみるとうまくいかないのは、相場のある一時期にうまくいった過去の手法で、そのときの相場に合わせて最適化された手法だったからかもしれない。つまり再現性がなかったのだ。

仮に相場のうまい下手というのが稼いだ金額の多寡(たか)で決まるとすれば、株のプロになるために必要なのは無謀な賭けに勝つ強運と、それを実行するための根拠のない度胸だけということになるのだが、そんな人をプロと呼ぶには違和感があるだろう。

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あなたも株のプロになれる

「あなたも株のプロになれる」(立花義正/著、同友館/刊)

「あなたも株のプロになれる」(立花義正/著、同友館/刊)は、これから株をやろうと思うあなたにとって読むべき一冊だ。

株本というのは、初心者のうちはどうしても必要で、なくてはならない。そうした書籍を読み漁るうち、次第に自分の売買スタイルというものが決まってくる。そうして、多くは必要がなくなる。

ある程度売買が決まってきたら、今度は質の高いものを選んで読んでいく。自分の売買スタイルとは違った主張や筋道のものをあえて選んでみるといい。何か発見があるはずだ。

この本は1987年(今から27年前)に発行されてから増刷を重ね、現在まで読み継がれている。相場を長く続けてきた人にとっても有益なヒントが詰まっているから実際に手に取ってみてほしい。

さて、相場で儲ける方法というのは多種多様だ。身も蓋もないことを言ってしまえば、結果に至るプロセスなんてどうでもよくて、儲かれば何でもいい。株の売買において最終的な望む結果は、投資した金額が増えていくことだからだ。

たとえば、適当に売買を行って、儲かったとする。それはそれで、過程はどうあれ結果としては正しいのだが、そうして得たお金を今度は失わないようにするのがまた大変なのである。そこに積み重ねた技術がなければ、せっかく苦労して得たお金を失うのも早い。

相場でお金を儲けて、絶頂期でやめられる人間などほとんどいないし、どこが絶頂期だったかなんて、終わってみなければわからないものだ。やめられないのであれば、立ち直れないような損をすることなくこれから先の未来も稼ぎつづけなければいけない。だから本当の技術が必要なのだ。

定石の洗礼

相場における「本当の技術」という言葉の定義自体が曖昧で、ぼくにもうまく説明ができない。たとえばFXの自動売買で利用されていることが多い手法、「ボックス売買法」はニコラス・ダーバスが考案した。彼はある時期、その売買法で富を得たのはたしかなのだけど、彼はその後、ロンドンの下町で落ちぶれた姿を目撃されたのを最後に消息を絶っている。

彼に技術がなかったかといえば、そんなことはなかったはずだ。それでも、人生の結末を知ると途端にわからなくなってしまう。

それは果たして「本当の技術」だったのか?答えは彼にしかわからない。

本当の技術というものが何か?ということも突き詰めていくと、そもそもの結果論に終着するのだけど、ひとつあるとすれば、定石というものだろうと思う。

著者の立花さんは、「上昇途中の株価急落をナンピンで買い下がる」という定石を経て”うねり取り”という技術を磨き、終生パイオニア株一筋で生計を立てていた、いわゆる株のプロである。

株のプロというと、経済ニュース番組で市況を解説する証券関係者を想像してしまうが、実は彼らは理論家であって実際に身銭を切ってトレードをする実践家ではない。

実際の株のプロ(実践家)のやっていることは地味で泥臭く面白みもない。たとえば、立花さんのやっていたことは大きく4つ。

  1. 毎日のパイオニア株の終値(取引が終わった時点の株価)を場帳(取引の約定値段、数量、売り方および買い方を記入するノート)に記入すること。
  2. 方眼紙に手書きで株価チャート描くこと。
  3. 毎日の新聞の株式欄を綴じ込むこと。
  4. 取引があったときは玉帳( 現在のポジション、売買の経緯、取引口座の現金残高などを記入するノート)の更新を行うこと。

相場の売買なんてきれいごとではなく、汗にまみれたもので、現実は案外そんなものなのかもしれない。



分割売買(ナンピントレード)

売買譜、場帳

通常、株は安く買って高く売る(売りはその反対)。そして、その差額が儲けになる。本書に登場する初期の定石手法は単純な分割売買なのだけど、これがまた実に奥深くて興味深い。ぼくは一時期好き好んで、この手法ばかりでトレードを繰り返していた。画像は2011年11月の東芝(6502)の売買譜だ。懐かしいなぁ。

このトレード手法を採用する根拠は、林輝太郎氏が統計をとった「上げ相場にあらわれた陰線新値の数」に拠(よ)る。これは1949年証券取引所開所以降1960年末までの主要株式のべ40銘柄と1952年穀物商品取引所開所以降1960年末までの小豆についてのものだ。

その結果は、

■下げの一日目の次の日に反転するケースが18%
■下げの二日目の次の日に反転するケースが30.8%
■下げの三日目の次の日に反転するケースが37.8%
「定本 酒田罫線法」(林輝太郎/著、同友館/刊)より抜粋

となっている。つまり3日目で株価が下げ止まる確率は86.6%という高い数字で、失敗する確率は驚きの13.4%となるわけだ。

下がっている途中を分割で買うことをナンピントレードと呼ぶ。難を平らにすると書いてナンピン(難平)。つまり分割で買っていくことで”買い”の平均値を下げていくことができる。実はナンピントレードは世間で思われているような下手の手法ではなく、プロが好んで使う技術の向上がある手法なのだ。

なぜ分割で買うのだろう。買ったところが株価の底、反転ポイントで、そこをピンポイントにとらえた方がたしかに儲けは多くなる。そこを的中させたほうが、上手なのでは?わざわざ、分割して買うことでのメリットは何だろう。

どこで買ったら安かったといえるのかは、買う時点ではわからない。あとからチャートを見れば一目瞭然で、ここで買ってあそこで売って、といくらでもきれいごとは言える。だけど、実際のトレードは失敗の続くゲームだ。失敗の続くなかで、うまく泳いでいかなくてはいけない。一発必中は必敗の法なのだから、余裕を持って分割で買うのだ。鼻息荒く株価の底や天井を当てようとするトレーダーのことを株の世界では当て屋と呼ぶ。当て屋から脱却することが株のプロになる第一歩だ。

これ以上、事細かく理論を説明するよりも、実際のチャートを見てもらったほうがわかりやすい。本書に登場するナンピン買い下がりのルールは以下のようになる。

買いのルール(売りはその反対)

1、逆向かいを下げの2日目から買い下がり始める。
2、3日目も安ければ買い、戻ったらいったん売り。
3、ナンピン3分の1(資金は3分割)、手仕舞いは分割しない。

※注文は終値を見て判断し翌日の朝一で成り行き注文

ナンピン買い下がり

このチャートは2014年8月21日(木)までのソニー(6758)の株価チャートだ。画像の数字を順番に見てほしい。

1、一日目の下げで二日目の朝買う。
2、二日目の下げをみて三日目の朝買う。
3、三日目の下げをみてから四日目の朝買う。
4、手仕舞いは分割しない。全部いっぺんに売る。

上昇途中に急落した株価は反動でもとのトレンドに戻ろうとする。それを逆張りナンピンで拾って買いの平均値を下げつつ、戻りで売り抜けているのがよくわかるだろうと思う。

これは、うまくいった事例だからいい。思うように反転しないこともあって、そのまま大きな損になることもある。では、失敗したときはどうするのか。その失敗はどう判断するのか。たしかに切実な問題だ。

経験者はトレードで失敗したときのことを思い出してほしい。絶対騰がると思って株を買ったのに、どうも思い通りに動かない。「おかしいな、ダメだったかな」とにかくそう思っていても「いつか騰がるだろう」と持ち続けた結果、大きく損をする。

それなら「おかしいな」と違和感を感じた時点で失敗を認めて、手仕舞いをしていれば大きな損はしなくても済んだはずだ。この手法でも同じで、それ以外に何もない。何かあるだろうと思われるかもしれないが、ほんとうに何もないのだ。

自分の型を作るとこの「失敗したかな?」という判断ができるようになる。この判断は同じ方法を何度も繰り返しているうちにうまく言葉では説明できないが、やっている本人にとっては適切で確率の高い「価値ある判断」になる。

まとめ

「あなたも株のプロになれる」(立花義正/著、同友館/刊)

江戸時代の米相場の頃から、相場師の三種の神器と言われるものがあってそれは、

1、資料
2、場帳(ばちょう)
3、玉帳(ぎょくちょう)

である。

上手な人というのは繰り返し練習して上達するものだ。道具を使いこなし、技術が身についている。畳の上の水練では、実際には泳げるようにはならないのと同じで、株の売買でも実際にやってみなければ上達のしようもない。売買技術の向上意欲を持ち、自分の型(自分の定石)を作ろう。そして、それを実行に移すことだ。

著者は自分なりにまとめた資料、場帳、玉帳を使い、自分なりの売買を実行することでプロとして成功した。そして、その売買の基本は分割売買である。繰り返しになるけど、株に興味がある人はぜひ読んでみてほしい。ストーリー形式になっているので株読み物としても楽しめる。

-関連リンク-

株式売買ノートの書き方を教えるから、これから株を始める初心者はしっかりと記録をつけようぜ


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