セルフブランディングという名のイケてる人生オブセッション

    

ブログ初めの頃は、来るもの拒まずの姿勢で四六時中ネットに貼り付いていたのだけれど、最近そういうことに疲れてきて、ご存知のようにツイートは少なめ。自分の意志のないツイートってフォロワーからするとスパムでしかないのだと言うけれど、なるほどなぁ、と心から思うから。

認めたくないけれど、歳とったのかな。また、そのうち四六時中張り付きますので、そのときはよろしく。

*オブセッション 強迫観念、妄想、執念

では、本題。

昨今ネットを使ったセルフブランディング(パーソナルブランディング)という言葉がごくあたりまえに使われるようになった。

セルフブランディングとは具体的にどういうことを指すかというと、日々ブログのようなオウンドメディアを更新し、暇さえあればツイッターやフェイスブックに張り付くことである。

イケてる自分というものを、ことあるごと発信して注目を集めた結果、広告報酬を得たり、様々な仕事のオファーがきたりして、より素敵な人生が送れます、ということなのだが世界の現実として、勝ち組は少数派である。そして、少数の勝ち組がすべての利益を得る。

ぼくもそうだが、大多数は、これらの定理を無視したままネットに関わり、時間やお金を搾取されている。しばらくブログを続けてわかってきたことが、ネットは現実より厳しい階級社会で、下層にいくほど、その生存競争は激しいということだ。

自分の立ち位置を客観視できない”その他大勢”がいて(ぼくのことだ)、今日も今日とて他人様の記事のクリックとソーシャルシェアに励んでいる。

「共感しました」「ためになります」「シェアさせていただきますね」

読んだのか読んでいないのか、よくわからないぼやけたコメントを残し、ツイッターで共有するのは、正直に申しますと、自分ブランドの押し売りのため。

要は、「見てあげたから、見てね」であって、「見てもらったから、見た」である。見られたい理由は言うまでもなく儲かるから。

ここでは誰もが長袖を着て、本音という刺青を隠しているのだけど、ふとした拍子にそれが見えてしまい、周囲をドキッとさせる。そこの住人は誰もが心のなかでこう言う、「楽園を壊すな」と。

イケてる人生にようこそ。

ネットはそう言ってぼくに牧歌的な楽園、アルカディアの理想郷への地図を渡してくれたはずなのだけど、辿り着いてみた先は荒野で、あてもなくさまよえば力尽きて倒れてしまう。これから果たしてどこへ向えばよいのか考えあぐねているところ。

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近況

なるべく休日は引きこもることにしている。というのも、週の1日くらいは誰にも会わず一言も口をきかず一步も外に出ずに本を読みたいからだ。

文章には純文(学)、雑文、駄文というランクがあって、純文読書の場合は、こちらの居住まいを正し、とりかかることになる。

ときには、日がなだらだらと寝て過ごす休日もある。昼過ぎ頃に焦り始め、残り少ない今日という日をいかに有意義に引きこもるかについてを布団に寝っ転がりながら考える。そういう日に読みたいのは、雑文だ。雑文の本というものは、得てしてどこかへ押しやられて見つからない。

「そういやぁ、本買ったな。おーい、アレどこへやったかな」と嫁に言うと、「アレじゃわかんないよー」と寝っ転がってテレビを見ながら言う。しょうがなくひとりで押入れの本の山と格闘することになる。

きちんとした本棚から厳(おごそ)かに取り出し、「では、読ませていただきます」となる純文とは対照的である。これが駄文になると、扱いはもっとひどく、「なんでもいいから字の並んでるやつ」となる。

「ネットのバカ」(中川淳一郎/著、新潮社/刊)

最近、「ネットのバカ」(中川淳一郎/著、新潮社/刊)を読んだ。けなすわけではないが、駄文。超現実主義的な物言いの著者が、それを言ったらオシマイだろう? ということを”ネット”というテーマに絞って書き綴っている。

  • ネットの言論は不自由
  • バカ、エロ、バッシングがウケる-ネットでウケるための見出し作り
  • 99.9%はクリックの奴隷
  • 本当にそのコミュニケーションは必要なのか-フェイスブックの浅い世界

小見出し抜粋してみたが、なかなかに刺激的。「ネットでウケるための見出し作り」なんてのは、興味深く読ませてもらった。ネット文脈でウケる話題はだいたい決まっているらしいので、ネットの人気者になりたいあなたは以下の「ネット文脈でウケる13ヶ条」を参考にするといい。

  1. 話題にしたい部分があるものの、突っ込みどころがあるもの
  2. 身近であるもの、B級感があるもの
  3. 非常に意見が鋭いもの
  4. テレビで一度紹介されているもの、テレビで人気があるもの、
    Yahoo!トピックスが選ぶもの
  5. モラルを問うもの
  6. 芸能人関係のもの
  7. エロ
  8. 美人
  9. 時事性があるもの
  10. 他人の不幸
  11. 自分の人生と関係した政策・法改訂など
  12. ジャズ喫茶理論」に当てはまるもの
  13. 韓国

著者が実際に手がけた記事タイトルがこちらである。

仙石氏「こんにゃくゼリーの形と硬さ」を政治主導で決定へ

これは、民主党政権時代の「NEWSポストセブン」2010年10月の記事の見出し。いかに民主党の政治主導が弱いかを皮肉ったタイトルがネットでウケた。

パプアニューギニアのザンビア族少年は年長者の精液を飲む

内容については、この見出し通りだという。ネット文脈でウケる話題はバカ、エロ、バッシングとあったが、そのうちのエロい話題である。人のクリックって正直だというが、たしかに。



あとがき

“なんでもいいから字のならんでるやつ”が読みたくて買ったのだが、読み終えてみたらこの駄文、悔しいほどに面白かった。

朝帰りの、妹の歯のすき間に陰毛を発見してしまったときのようなゲスな好奇心がむっくりと頭をもたげる良書。


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