天空の世界を目指して世界遺産の富士山に登る。「自分で歩いたものにだけ見ることができる景色がある」というのは本当だった!!

    

初めての富士登山

初めての富士登山。片道10時間も掛かってしまったけれど、樹林帯を抜けたあたりから夜空の流れ星を幾度と無く目にし、辿り着いた先の山頂では息を呑むような大雲海が待っていてくれた。どこか雑誌のカラーページで見たことがあるはずの景色なのに、いつまでも飽きないで眺めていられた。

同じ景色でも、そこに「歩く」っていう根源的な行為があるのとないのでは、世界はまた違って見える。自分で歩いたものにだけ見ることができる景色があるって、本当だったんだ。

初めての富士登山

2013年6月に世界文化遺産に登録された富士山は標高3776mの独立峰で、気流の変化が激しく、冬季は人を寄せ付けない。しかし、人間が唯一近くづくことを許される期間が、この7月~8月の2ヶ月間だ。だから、誰もがこの時期、富士山頂の天空の世界を目指し、自分の足で登る。

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9合目、そこは雲上の街。夜明け前は少しだけ、ドラマチックだった。静寂のなか、誰もが地平線の彼方を見つめて、その瞬間を待っている。眼下には、これまで歩いてきた道が見えた。それは目も眩むような急登の連続で、何度もめげそうになった道。空気が薄いせいか、一歩一歩が本当にきつくて辛かった。

山での、これまでに過ごした時間は平地にいる時間とはまた違った感覚で、すべてが研ぎ澄まされる。何があっても、どんな状況でも自分でしか解決できないし、覚悟を持たなきゃいけない。結局、進むか進まないかは自分で決めるしかないのだ。これは登山家「山野井泰史」の言葉を借りて言えば「自分の中の冒険」だ。

さて、視線を地平線の先に戻すと空が明るみ始めていた。

初めての富士登山

「弱い人間が山と向き合ったとき、それは山との闘いというより、自分との闘い」と言ったのはマッターホルン北壁、アイガー北壁、グランドジョラス北壁とアルプス三大北壁の冬季単独登攀初成功を成し遂げた長谷川恒男の言葉。

ただ、山頂に辿り着ければいいのではなくて、その経過もまた大事で、富士登山は、ぼくにとって自分の弱さと向き合うことができた大切な時間でもあったのかもしれない。

初めての富士登山

山の楽しみ方はひとそれぞれで、ストイックに日本の100名山を制覇していくのだっていいし、静かでマイナーな低山に通うのもまた楽しい。登山のあとの温泉やグルメまで含めて計画を立てるというのもありだ。純粋に引かれる山に登ろう。ぼくにとってはその山が富士山だったというだけだ。自分の能力に合った山を、時期を選べばいい。足りない部分は装備で補い、あとは経験を積むしかない。大事なのは無茶はしないということだ。スポーツなら限界を超えて挑戦するのもいいかもしれないけど、山ってそんなに簡単な世界じゃない。無茶は死に直結する。

富士登山のアドバイスとしては、とにかく、休憩が重要だということを伝えたい。所用時間どおりに行かないことに、決して焦ってはいけない。歩幅は短くし、息が上がったら立ち止まって小休憩を挟もう。酸素を運ぶ血流が滞(とどこお)ると高山病になってしまう。だから水分補給は重要だ。乾きを覚えてから飲むのでは遅い。舐めるように常に飲み続けることを意識しよう。汗で出ていく分を補うという感覚でいい。

夜間から登り始める富士登山であれば、水は2リットルあれば足りる。ぼくは飲料水を「いろはす500ml」ペットボトルで3本とゼリー飲料で合わせて2リットル分持っていった。「いろはす」は飲み終わったあと潰せてかさばらない。お茶を持っていく人もいるけど、利尿作用が働くのでトイレ問題が切実な山では「水」がいい。水なら、飲む以外の用途にも使える。

日が昇ってからの直射日光の強さは対策を怠るとまずい。リップクリームがないと唇が荒れるし、サングラスがなければ、紫外線で目がやられてしまう。もちろん日焼け止めはこまめに塗ろう。肌の露出は極力抑え、暑くても長袖が基本。

下山道が砂走りだったのだけど、マスクはあまり必要じゃなかった。呼吸を楽にする意味でも、むしろいらない。砂埃が立てば収まるまで口元をタオルで覆えばいいだけだし、単独で下山するのならそもそも、自分の後に砂埃が立つから気にならない。

装備の軽さはたしかに大事だけど、盲目的に軽量化するのだけは避けたほうがいい。装備は山の中で自分の身を守るためのものだから、必要最低限ではいざというときに困る。必要な装備は必ず持つということを心がけてほしい。

では、たくさん持っていけば間違いないかというとそうでもないから困るのだね。ぼくの場合、コンパスと地形図なんかは一度も開くことがなかった。山に入る際の最低限のエチケットとして携行するのがいいのだろうけど、モバイルバッテリーとスマホの組み合わせで事足りた。だいいち夏富士では人が多くて、迷う方が難しい。

コンパスと地形図が必要になる山は、いまのぼくの能力では対処できないということだ。

「あると便利だし安心」はたしかに、もっともな主張なんだけど、その道具を使いこなせなければ意味がない。使えないのなら持っていくのを止め、その道具がどうしてもその計画に必要になるのなら、計画そのものを見直すべきだ。これは装備にこだわるということで、ベテランよりむしろ初心者が心がけるべきことだ。

さて、どの装備にこだわるかということだけど、たとえば、アンダーレイヤー。登山中はとにかく汗をかく。止まると汗が体温を奪っていく。だからアンダーウェアは吸湿速乾性があって汗冷えしないもの。しかも防臭に優れた素材がいい。これを満たすのがメリノウールという素材だ。

メリノウール素材のアンダーウェアは秋冬用と言われるけど、これが夜間の夏富士登山には最高に快適だった。登り始めはこれ一枚で、途中からソフトシェルを着る。寒くなれば、ダウンベストを着込んで、さらに寒ければレインウェアを重ねた。ウェアに求められるのは汗対策だ。レインウェアなんかはその典型で、一番必要なのは透湿防水の性能だ。雨は防げても自分の汗で濡れるというのでは意味がない。その他装備について詳しく知りたければ、こちら過去記事を見てほしい。

最新の山道具は少ないけど、案外イケそう!?ブロガー「kakujin」が富士登山に持っていくものリスト!!

前回の記事で装備リストを公開したのだけど、追加で持っていったもので役にたったものもあった。具体的にはガムテープを38mm幅のテーピングに、バンドエイドはカテリーパッドに変更した。サバイバルシートは山頂で寒さを凌ぐのに役立った。

英国の山岳探検家、エリック・シプトンはこんなことを言っていた。「持っていくか迷うような装備は持っていくべきではない」と。だけど、この言葉を実践するのはたやすいことではない。なぜなら装備をひとつ減らすということは、その減らした装備分を自分の知識・経験で補わなければならないからだ。

あとがき

夏の富士は誰にでも登れる山だと思う。だけど、何が起こるかわからない。装備を整えないで登ってくる登山者もなかにはいる。体調管理ができなくて一歩間違えば救助を必要とする事態にもなる。

現に、夜間樹林帯で手持ちの豆電球ライトで登ってきた人が、電池切れで立ち往生していたので電池を分けたし、須走下山道では両足首を痛めた人を、通りすがりの登山者の金剛棒と自衛隊の方の上着2枚を借りて応急担架を作り、その場にいた全員で6合目売店まで搬送した。

結局、どの山がいいのかは自分の心と体力、技術によって答えはさまざまなのだ。自分の能力を客観視して、ぜひ「あなただけの登山スタイル」を見つけてほしいと思う。



-関連リンク-

最新の山道具は少ないけど、案外イケそう!?ブロガー「kakujin」が富士登山に持っていくものリスト!!

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