会社で生き残れない人のための生き残り戦略!あなたも10年後の失業に備えたほうがいいかもしれないですよ。

    

『「10年後失業」に備えるためにいま読んでおきたい話』(城繁幸/著、夜間飛行/刊)

『「10年後失業」に備えるためにいま読んでおきたい話』(城繁幸/著、夜間飛行/刊)は、先月6月20日に発売された城繁幸さんの最新刊で、未来の自分を思い浮かべた時、「責任ある仕事を任されて安定した収入を得ている」そんな自分をイメージできない人のための生き残り戦略について書かれている。ビジネス書を読み漁っていればおなじみの考え方も多いが、折に触れて再確認することは大事である。

話は日本の終身雇用システムを架空のプロ野球チームの運営になぞらえて、皮肉を込めつつの物語り形式で進むのだけど、野球に興味がないひとは、いまいち楽しめないかもしれない。

刺さった部分がいくつかあったので共有しよう。

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主体性を持って仕事をする。

仕事はルーチンワークと担当者が頭を使って処理しなければいけない仕事の2種類ある。前者はラクで、後者は疲れるけども意識して後者に張り付くことがビジネスマンの生き残り戦略として有効。

たいていどんな仕事にもこの2種類の仕事は混在していて、後者には高い報酬が用意されている。ルーチンワークはいずれ新興国のより安い労働力にとって代わられる可能性を考えなければいけない。

空手形(からてがた)を掴まされないために

「10年は泥のように働け」という言葉は年功序列制度の本質を表している。

中高年になれば出世できるから泥のように働けと言う意味なのだけど、企業は長期に渡る経済低迷で体力を失い配分するポストも減ってきた。若いころ泥のように働いた世代は結局、泥のなかでキャリアを終える。これを本書は空手形といっている。

空手形を掴まされないためには、その会社でしか通用しない仕事は適当にやっつけつつ、自分の市場価値を高める業務にリソースを集中させるといい。そうして、いつでも転職できる人材になっておくことが大事だ。

自分の市場価値を高める

『「10年後失業」に備えるためにいま読んでおきたい話』(城繁幸/著、夜間飛行/刊)

人材の価値には2種類あって、一つは所属する会社内での価値、もうひとつは労働市場での価値だ。

終身雇用の国、日本では労働者が企業をまたいで動くなんてことが、一般的ではない。だから、それぞれの会社ごとに仕事のやり方やスタイルは変わる。その結果、社内でとても優秀な人が、いざ転職しようとしたらまったく評価されないということが起きてくる。

社内価値と市場価値にズレがないか客観視してみよう。

自分の市場価値を高めるためには、自分の働く分野の関係する専門書はもちろん、新聞や経済誌、ビジネス書も一定程度は読みこなしておく習慣をつけるべき。そうすることで仕事の全体像が見えてくる。

次に社外人脈を構築して、アンテナを高くする努力を続ける。そうすることで、その業界の中でのあなたの立ち位置がどのあたりなのかがわかってくる。それは、今後の貴重な道しるべとなってくれるはず。

目標管理とうまく付き合う方法

『「10年後失業」に備えるためにいま読んでおきたい話』(城繁幸/著、夜間飛行/刊)

完璧に公平で客観的な絶対評価など存在しない。ここをまず理解しよう。

多くの企業では今でも相対評価(周りと比べて評価すること)を行っているのだ。部署の目標=上司の目標であり、それを細かくブレイクダウンして部下に割り振ることが目標管理の肝なのだから、あなたがすべきことは部署の目標に対していかに貢献できたかをアピールすることだ。

部署の目標に貢献するということは上司の目標達成を支えることでもある。そういう「あなた(上司)の目標を達成するために私は頑張った」ということをアピールされるのは人情として悪い気はしない。

評価制度って常に恣意的(しいてき)で主観に基づくものだということだ。

若手に仕事を任せる

『「10年後失業」に備えるためにいま読んでおきたい話』(城繁幸/著、夜間飛行/刊)

仕事でも勉強でも当てはまることだが、自分の理解を深いものにするコツは他人が理解できるように説明することだ。後輩や新人にあなたの仕事をしっかりと教えてあげることで、あなた自身の仕事の理解も深まる。

そして、次にその人に教えた仕事を任せよう。もっとも優れた人材育成方法は仕事を任せることだからだという。

空いた時間は、誰も担当していない課題を切り出して解決していく時間にあてよう。それがあなたのキャリアを高めることに繋がる。

人に優しい会社などない

この世に「従業員に優しい会社」なんて存在しない。

人件費の総額は決まっているにもかかわらず、人に優しい経営とは何を意味するかというと、単にデキる社員に報いるための報酬をピンはねして、そうでない人間と平均しているということだ。

人に優しいという評価は支える側か、支えられる側か、立場によって180度変わる。

ブラック企業の心配をする暇があったら勉強しろ

じつは、ブラック企業と呼ばれている会社の多くは違法でもなんでもない。法律に従って従業員を働かせているだけの合法企業。合法なのだから摘発もされないし、過労死がおきても誰も捕まらない。

日本には残業時間の上限を定める規制が存在しない。なぜかというと終身雇用を守るためで、要は意図的に残業規制に抜け穴が作られている。

これらの是非を問うて議論するのは無駄である。こういうことに時間を費やしてはいけない。

ブラック企業にうっかり入ってしまったら、自己のスキルアップを考えつつ、もう限界と思ったときに転職できるように準備をしておくというのが、個人にとれるもっとも賢い生存戦略だ。

まとめ

さて、ぼくは読み終えたあとで、こう思った。楽しむべきは、ストーリーの合間の教訓であったり、注釈にあるのではないか。随所に散りばめられた城繁幸(じょうしげゆき)本来の語り口が魅力で、それが読めるだけで十分価値がある。たとえば、こういうのが面白い。

本書に登場する、プロ野球チーム(もちろん架空だ)。そのトレーナーが、所属のおっさん選手に言う。その、おっさん選手は経験もあって、若いトレーナーの言うことが気に入らない。そしてこう言った。

「だいたいやね、アメリカの偉い学校で勉強したのかなんか知らんけども、君はアレかね、プロの選手経験はあるんかね(※4)

この状況で、たいていは「ん?何かおかしいぞ」と思いつつも、何も言えない。そんなものかと自分を納得させる。いつしか、疑うことさえ忘れてしまう。それに対しての注釈はこうだ。

※4)俺のほうが経験が長いから、というロジックは一見筋が通っているように見えるが、ほとんどの企業現場においては10年も経つとノウハウは陳腐化する。

というか、経験が無い人は意見しちゃいけないのであれば世襲政治家なんてやりたい放題である。

何が言いたいかというと、こういう反論の前提となるロジックや世の中の不都合な真実を知っておくことが、あなたを守ることになるし、その他大勢より人生を何倍も賢く生きていけるということだ。社会に出て、こういう経験と慣れだけで生きてきたような上から目線の物言いに対して、ぼくらは無防備すぎた。

ということで、いくつか面白い、ためになったと感じたものを噛み砕いてピックアップ。屁理屈のバリエーションが増えるだろうと思う。

「やれと言われればやる」

あなたが、部下に仕事を頼むとしようか。それに対して「まぁ、やれと言われればやりますけど」という返答だったとする。こういう部下の「やれと言われればやる」という返答は「どうしてもやらなきゃならないんですか、絶対に嫌なんですが」という強固な意志を組織内で許容される限界まで丸くした表現だという。そういうことを平気で言い出す若手が増えると、会社は傾いていく。

⇒根性叩き直すか、泥船に乗り続けるかはあなた次第だ。

「ゆとり教育」

世の中上手くいかないことは全部これ(ゆとり世代)のせいにされる。いわゆるスケープゴート(生贄の羊)のような存在。よく言われる学力低下については調査結果が異なり、まだ評価は確率していないのだそう。ちなみに、よく目にする「ゆとり世代のバカな大学生が~」的な話については引用を見てほしい。

団塊ジュニアより4割以上もの新成人の数が減っているにもかかわらず経営上の理由から定員を維持し、むしろ新設学部を増やしている大学側の問題に過ぎない。

「大学生がバカになっている」のではなく、「大学がバカ相手にいっぱい学位を売りさばいている」と言うべきだ。

⇒たまに聞いたこともないような出身大学の名前を言う子がいるね。

これについては過去記事もあるから、よかったらぜひ。
グローバル社会の到来は、”バカな日本の若者”にとってのジェノサイドという未来

「内部留保悪玉説」

企業は現金をたくさん隠し持っているという仮説。共産党が階級闘争ごっこを続けるために作り出した「なんだかよくわからないけど、いっぱいお金持ってそうな」イメージ。(中略)

当たり前だが、それら(内部留保)のほとんどは工場などの生産設備であり、多少の現金があったにしてもそれは自分たち正社員の不況時の備蓄でもあるわけだから「内部留保を切り崩して賃金を上げる」というのは、タコが自分の足を切り取って食うようなものである。

⇒バカはバカの目線で、受け取った情報の検証もせずに、理解する(した気になる)。ぼくも、最近まで”内部留保=会社の大金庫に札束が積まれているイメージ”だった。

「大企業なんてどこもこんなもの」

生まれたての子猫を室内で大切に育てると、ネズミを見ても狩りをしない猫になる。ぴかぴかの新卒学生を大企業に入れて年功序列のぬるま湯で育てると、危機感のないオジサンになる。

⇒良い人材も悪い人材も環境によって作られる。

「世代間対立」

賃下げや解雇ができないという制約下で総人件費を抑制しようとすれば、下の世代の昇給を低く抑えるしかない。65歳までの雇用義務化に伴い、「コストアップ分をまかなうために若手社員の昇給をカットいたします」と正式にリリースしたNTTはとても良心的な会社である。普通は人事と労組でこっそりやるものだ。

⇒日本という国では割を食うのは若者と決まっている。

「森永卓郎」

東大卒経済アナリストで、「経済風の味付けをした庶民思いの芸風」が売りの芸人。痛みを伴う経済政策を主張する経済学者やエコノミストが多いなかで「痛くない民間療法」を主張することでメディアに地歩を築いた。

「正論よりも視聴者を喜ばせる内容」を重視するメディア側のニーズを見事に突いた素晴らしいマーケティングセンスである。

また「今日はどういう風にコメントすればいいの?」と事前に記者やスタッフに聞くほど、顧客目線を大事にしている人格者でもある。なお、経済記者出身の作家である相場英雄氏は自身の連載の中で「モリタク氏と思われるアナリスト」のメディアに対する懇切丁寧なサービス精神について、高く評価するコメントを残している。

⇒高く評価するコメントが残っているのはこの記事ですね。
御用聞きコメンテーター”を信じてはいけない

「労使なんて表裏一体」

会社にとって都合のよい話というのは、ずっと会社にしがみついているオジサンにとって都合のよいものである。

⇒結局、割を食うのは若者ということで。

あとがき

いやぁ、面白いね。ぼくが城繁幸さんの文章を読み、考えに触れたいと思うのは、ときに皮肉に満ちた文章表現(これがまた面白い)と問題の本質を突く鋭い批評があるからだ。できれば、こういうブラックな社会批評で紙面を埋めてほしかった。

ぼくは、この不条理な世の中を、賢く合理的に生きていくための武器が欲しい。そして、それを研ぎ続けたいと思う。そういう用途では、本書のボリュームはちょっと物足りない、もっと読みたいというのが読後感。



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