女性をモチーフにした隠れた名画

    

ぼくは読書についてはあまのじゃくなので、どちらかというと遠い本(知名度の低い作品)を好む。人にあまり知られていない、希少本や絶版のものを探しだして私的コレクションに加えるのが密かな楽しみだったりする。

絵画もいわゆる名画と呼ばれるものより、あまり陽の目をみないやつがいい。

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Madame X (Madame Pierre Gautreau) マダムX

アメリカのニューヨークにある、超がつくほどメジャーなメトロポリタン美術館のコレクションに、「マダムX(Portrait of Madame X)」なんてのがあります。

何度見ても、その青みがかった滑らかな肌の質感はじつに官能的で、ため息がでるほどに美しいのです。

マダムX Madame X (Madame Pierre Gautreau) ニューヨーク「メトロポリタン美術館」所蔵

これはこれで大変すばらしいと思うのだけど、知名度がありすぎて手放しで「いいよね!賞賛!!」って言うのはなんだか気恥ずかしい。

でもこれ、いいよねえ。

Madame X (Madame Pierre Gautreau)

Charlotte du Val d’Ognes シャルロッテ・デュ・ヴァルドーニュ嬢の肖像画

同じくニューヨーク、メトロポリタン美術館の所蔵品からこちらをチョイスしてみた。パッとタイトルを言える人はあまりいない。

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窓ガラスの割れた薄暗い室内でデッサンしている「シャルロッテ・デュ・ヴァルドーニュ嬢の肖像画」である。

ワンピースドレスが太腿から腰、背中へと身体のラインに美しく沿い、そのまま視線を上へ遣るとまとめた髪の表面の毛が、逆光でふんわり浮かびあがっている。そのさまに恍惚としてしまう。

Charlotte du Val d’Ognes (died 1868)

Thérèse Dreaming 夢見るテレーズ

そういえば、去年の2014年4月から6月にかけて東京都美術館でバルテュス展があった。代表作の「夢見るテレーズ」がポスターに載っていたので印象に残っている。

“夢見るテレーズ”を簡単に説明すると、”長椅子に片膝立てて股間露わに微妙な表情浮かべる少女の足元で、猫が床の皿の液体を舐めている画”ということになるのだけど、この作品だけに限らず、バルテュスの作品は背徳のエロティックなモチーフ、描写が多い。

それゆえに各国でアートか否か? と物議を醸す。

『夢見るテレーズ』のエロさはどこからくるか-「覗き」がもたらす背徳的興奮

バルテュスの描く少女は、ポルノグラフィーか否か?

Katia reading バルテュス Balthus

以前ドイツではバルテュスの展覧会が、抗議によって中止になったことがある。 ※写真は「読書するカティア」。

Une exposition de photos de Balthus annulée en Allemagne

人間ってのを美徳や良心だけで語るのには無理があって、そういう人間の普段表にでてこない本質を”なかったこと”にする人とは、そもそも文学や芸術の話などできない。

さて、アートって何かということをぼくなりに考えてみたところアートって究極、”技術”なのだという結論に至る。何が言いたいかというと、バルテュスの作品には技術があるってことなのです。一枠の画に多くの人を引きつけられるのは、表現の技術があったからです。だからぼくはバルテュスの作品がポルノだとは思わない。

だけども、「バルテュスいいよね!最高!!」って公言するにはちょっと憚られる作品があるのも事実なんだよね。ははは。

「夢見るテレーズ」もまた、メトロポリタン美術館所蔵品です。メトロポリタン美術館公式サイトの「The Collection Online 『 Thérèse Dreaming』」で鑑賞できます。

バルテュス

「鏡と猫」

たとえば名画の話になったとして、普通はゴッホやドラクロワ、セザンヌなどの巨匠を挙げていくと思うのです。そこで「バルテュスいいよね!」とは言いづらい。でもいつも心の奥底で「もっとスゴいの忘れてないか?」といった形でぼくを脅かす影がありました。ぼくにとってバルテュスというのはそういう存在。

美しい日々 Les Beaux Jours バルテュス

「美しい日々(Les Beaux Jours)」

暖炉に薪をくべている男が醸し出す”不穏な緊張感”が、作品の魅力を際立たせている。

la sirène repue 飽食のシレーヌ

シレーヌ(sirène)とはセイレーンのフランス読み。セイレーンはギリシャ神話に登場する海の怪物のことで、上半身は女性の身体、下半身は鳥の姿とされる。

ギュスターブ=アドルフ・モッサ(Gustav-Adolf MOSSA)の「飽食のシレーヌ」には残酷なセイレーンが描かれている。

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つくづく人間の創造力ってスゴいなあと思う。神が人間を創ったといいますが、その人間が今度は神を真似て怪物を創るのです。その怪物が造物主であるはずの人間を喰らう(想像のうえでね)。そう考えると、人間ってのは神にとって怪物であり、神を喰らう存在なのかもしれません。

la sirène repue

ギュスターブ=アドルフ・モッサ Gustav-Adolf MOSSA

Mossaの作品ってたくさんあるんですね。ぼくも知りませんでした。

Gustav A Mossa – Pinterest

※閲覧するにはPinterest(ピンタレスト)のアカウントが必要です。



The Widow of an Indian Chief watching the Arms of her Deceased Husband インディアン酋長の寡婦

この雰囲気はかなり好きです。正式なタイトルは「今は亡き夫の武器を見守るインディアン酋長の寡婦」で(長いね!)イギリスの画家、ライト・オブ・ダービー(Wright of Derby、本名:ジョゼフ・ライト)の作。

The Widow of an Indian Chief watching the Arms of her Deceased Husband Joseph Wright

よくよくこの絵を眺めていると、描かれているのはインディアンの寡婦だというのになぜか肌が白いことに気付く。

JOSEPH WRIGHT GALLERY

ARON WIESENFELD

ジョルジョ・デ・キリコの「通りの神秘と憂愁」を思い出しました。Aron Wiesenfeldという画家は、不気味な幻想性漂う絵を描くのがうまい画家だなと思います。彼の絵にはまるでシュルレアリスム的な不気味な沈黙と静けさがあるのです。

Aron Wiesenfeld Aron Wiesenfeld ARON WIESENFELDAron Wiesenfeld Aron Wiesenfeld

ARON WIESENFELD

Google Art Project(グーグルアートプロジェクト)とPinterest(ピンタレスト)

ぼくが普段アート(主に絵画)を探すときに使っているおすすめのサービスを2つ紹介して終わりにします。あなたもぜひ、自分だけのお気に入りのアートを見つけてみてください。

  1. Google Art Project
  2. Pinterest

使い方はこちらの記事が参考になります。

ヴァーチャルにアート体験できる「Google Art Project」の使い方

ひらめきの種を見つけよう!「Pinterest」(ピンタレスト)を楽しむコツ


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